甲賀の美味 三連星

日本酒ランク【☆☆☆☆】

鈴鹿山系の伏流水を仕込み水に、絞ったお酒を直ぐに瓶詰めした鮮度抜群の生原酒。三重県に名酒が多くあるように、水口は鈴鹿山系を挟んで西側に位置し、鮮度を売りにした銘柄が多いように思う。

三連星でも、特にこの銘柄は主張が強く、是非洋風の料理と合わせてほしい。

商品名:三連星 無濾過生原酒 直汲み 純米酒吟吹雪

原材料:米・米麹

精米歩合:60%

使用米:滋賀県吟吹雪100%使用

アルコール分:16度

日本酒度:+4.8

酸度:1.7

仕込み水:鈴鹿山系野洲川伏流水

美冨久酒造株式会社

滋賀県甲賀市水口町西林口3-2

お酒をしぼった先から直ぐに瓶詰めする事で抜群の鮮度を誇り、醗酵ガスがピチピチと口中に広がる発砲感がたまらない。

純米吟醸のタイプより、このシリーズの方がよりこのお酒の特徴が出ており、バランスが取れている思う。果樹の芳香に始まり、含みの酸味や米の旨味を、この発砲感がうまく包んでくれている。そして、ほどなく切れてゆく。生酒の良さを引き出しているお酒である。

いい意味で、日本酒本来の飲み口を裏切りつつ、刺激的かつ美味しい酒であると思う。パスタ料理、オリーブオイルを使った料理、チーズ等乳製品も合わせやすい。勿論、魚料理、肉料理にも十分いける。

白ワイン好きのあなたに、是非この三連星と飲み比べてほしい!!

          

愛知の 二兎

日本酒ランク【☆☆☆+】

”二兎を追う者は一兎をも得ず”という言葉があるが、このお酒のラベルには”二兎を追うものしか二兎を得ず”と書いてある。

つまり、二律に背反するような二つのコトガラを最高のバランスの味わいになるように造ったということだそうだ。

徳川家康の故郷にて育まれた、この蔵は風土・歴史 – 丸石醸造株式会社 元禄3年(1690年)に創業。 清酒「三河武士」の商いを始めたそうだ。当然、”徳川家康”と命名された高級酒もここで造られている。

愛知県注目のお酒である。

商品名:純米吟醸 二兎 山田錦五十五 火入

原材料名:米、米こうじ

原料米:山田錦100%使用

精米歩合:55%

アルコール分:16%

丸石醸造株式会社

愛知県岡崎市中町6-3-3

芳醇な果物の甘みと、ほのかな酸味が、口に広がり、二律を求めるバランスに違わない味わいを醸している。

大変、美味しい酒である。

ただ、バランスが良いがためか、少し個性に欠けるかもしれない。しかし、それが飲みやすさと、万人に好まれるタイプのお酒に仕上がっていると感じる。

三河といえば、八丁味噌だが、恐らく主張の強い味噌と喧嘩しないお酒造りというものが、この地方の命題だったのかもしれない。この界隈のお酒は多く知らないが、二兎のバランスの良さから、勝手にそんなことを想像する。

【杜氏と造り手】

酒蔵で働く人々を蔵人といい、蔵の代表者を蔵元、酒造りの責任者を杜氏という

江戸時代からは秋の新米収穫後、冬場に酒を造る『寒造り』が主流となる。米を作る農民には農閑期が格好の出稼ぎの場となり、やがては杜氏集団が形成された。

伝統的な蔵人の役割

1杜氏    酒造責任者 全ての管理を一手に担う

2頭     杜氏から伝達を受け、蔵人の指揮、仕込み水、麹仕込みを担う(三役)

3麹屋    麹用蒸し米等、麹室の一切を仕切る            (三役)

4酛屋    酛立て、醪仕込みを行う                 (三役)

5釜屋    甑蒸し、釜焚き付け、米洗い、米量り、仕込み水汲みを行う

6船頭    酒搾りの上槽を行う

7炭屋    濾過を行う

8道具廻し  酒造用具の管理と洗浄、米洗いや蒸し米取り出しを行う

9追廻し  洗い物、米洗い、水汲みを行う。

しかし近年では、蔵元自身が酒造りと杜氏を兼務したり、役割分担が変化しつつあるようだ。

【全国の杜氏】

青森県 弘前出身の 津軽杜氏

岩手県 三大杜氏の一つで全国最多の杜氏数を誇る 南部杜氏

秋田県 横手市を本拠地とした東北で南部杜氏に次ぐ集団 山内杜氏 

福島県 平成元年に発足した新しい団体 会津杜氏

栃木県 杜氏組合に加盟していない団体 下野杜氏

新潟県 南部杜氏に次いで全国第2位の杜氏集団 長岡出身が多い 越後杜氏

長野県 大正期以降に発足 昭和期に3つ組合 小谷杜氏 諏訪杜氏 飯山杜氏

石川県 珠洲市、内浦町発祥 能登杜氏

福井県 南越前町の 越前糠杜氏 と伏見や愛知半田に出稼ぎした 大野杜氏

兵庫県 全国第三位の規模の 但馬杜氏 の他 丹波杜氏 南但杜氏 城崎杜氏

岡山県 笠岡、浅口等、県南西部の 備中杜氏

広島県 三浦仙三郎氏が発足させた 広島杜氏

島根県 松江市秋鹿で大正初期創立の 出雲杜氏 浜田、周布、益田の石見杜氏

山口県 長門市拠点の 大津杜氏 周南市拠点の 熊毛杜氏

高知県 南国市周辺の 土佐杜氏

愛媛県 今治市の 越智杜氏 伊方半島の 伊方杜氏

福岡県 九州の中心的 柳川杜氏 三潴杜氏 久留米杜氏

佐賀県 肥前杜氏

長崎県 生月杜氏 小値賀杜氏

【麹菌と酵母】

アルコールには大きく分けて三つの発酵方法がある。

➀単発酵 『ワインなど果実酒』 原料に糖分が合まれているので、酵母を加えるだけでアルコールへと発酵させることができる。

➁単行複発酵 『ビール』 デンプンを「糖化」と言われる糖に分解する工程と、糖化した糖を酵母によって「発酵」させる工程を別で行う。

➂並行複発酵 『日本酒』 糖化と発酵を同時に行う手法は世界的にも珍しく、日本酒独特のまろやかで、複雑な味わいを醸し出すことができる。

日本酒は米と水をアルコールに変えるため、米に含まれるデンプン質を糖分に変える糖化と、その糖分をアルコールに変える発酵の段階を踏まなくてはならない。

まず、糖化に欠かせない微生物が麹菌である。麹菌はカビの一種で、日本酒の場合通常は黄麹が用いられる。麹菌は蒸し米にふりかけ増殖させることで麹となるが、麹菌には糖化だけではなく、タンパク質をアミノ酸に変えて旨味や香味成分を作り出す役割もある。 そして、発酵に欠かせない微生物が酵母である。酵母は発酵する際、酸や香味成分を作り出し、日本酒の味や香りに大きく影響する。この酵母には下記の表のとおり、色々なものが使用され、それぞれに特徴がある。

【米を酒へと変化させる日本酒造りの重要な原料と役割】

酵母には多様な種類があるが、一時期までは協会系の酵母を使用されることが多かった。しかし、近年では自家酵母といって、蔵に棲みついた独自のものを使用ケースも増え、個性を前面に打ち出した日本酒が現れている。

【酒米】

米にはデンプン質以外にタンパク質や脂質が含まれている。食用としてはタンパク質、脂質は旨味として感じられるが、酒にはこれが雑味となってしまう。一方、最初から日本酒用に品種改良された特別な米を酒造好適米といい、米粒が大きく心白も大きい。また、雑味となるタンパク質が少なく、吸水性や糖化性が良い上に醪にも溶けやすい。

この酒米造りは山間部の棚田が良いとされるが、作業効率が悪い。さらに酒造好適米は背丈が高いため風による倒伏のリスクが高く、農家にとってはやっかいな品種である。

但し、近年は食用米を酒作りに利用する例も増え始め、原料である米の選択肢がふえている。 

現在、酒造好適米は全国で約120種類程生産されている。代表格としては「山田錦・五百万石・美山錦・雄町」などがあり、これら四種だけで全生産量の約7割を占めている。

全国の酒造好適米一覧

酒造好適米

山田錦

主産地は兵庫県で、約8割を生産している。吟醸酒によく使われ、すっきりとした味わいに。

五百万石

新潟で生まれた品種。最も多く使用されている酒造好適米でふっくらとした味わいに。

美山錦

長野県で誕生した冷涼な地域でも育つ品種で、優しい味わいに。多くの子孫を持つ。

雄町

酒造米のルーツとされる品種。コクのある味わいに。

【日本酒の味】

お酒は基本的に、アルコール度数が上げれば辛口に感じ、酸味が多くても辛口に感じる。また、飲む際の温度や、食べ合わせ(おつまみ)によっても甘辛の感じ方が左右される等、色々な要因により酒の味は変化する。また、その日の体調感情、飲む場所の雰囲気等にも味は左右される。

ただ、客観的にさけの旨味を表わす指標として、酸度を縦軸日本酒度を横軸にしたとき中心辺りで交錯する基本ラインにより、濃厚甘口、濃厚辛口、淡麗甘口、淡麗辛口に分ける事が出来る。

日本酒の味を決める主な要素

『1日本酒度』

水の比重を0とした時に、酒の比重はいくらかを対比数値化したものを日本酒度といい、+は辛口、-は甘口の指標となる。糖分等のエキスが多い酒ほど濃厚で甘くなり比重は重くなりマイナスに。エキス分が少ないほど比重が軽くプラスに傾く。

『2酸度』

酒の酸味や旨味をもたらす有機酸の量を相対的に表わす数値で、乳酸やコハク酸、リンゴ酸等の含まれる値である。酸度が高ければ辛くて濃く、低いと甘く淡麗に感じる。

1日本酒度と2酸度による日本酒の旨味指標

『3アミノ酸度』

コクや旨味のもとになるアミノ酸の量を相対的に表す数値。日本酒にはアルギニンやグルタミン酸等、約20種類のアミン酸が含まれている。

酒は発酵過程で甘辛をコントロールでき、麹による糖化作用を強め、酵母によるアルコール発酵を抑えれば甘口となり、その逆の操作をすれば辛口の酒となる。

『4仕込み水』

ミネラル分(カルシウムとマグネシウム)の含有量が多い水を硬水といい、ミネラル含有の少ない水を軟水という。

灘の酒は硬水(中硬水)で造られており男酒と呼び、軟水で造られた伏見の酒を女酒と呼び昔から親しまれている。 ミネラル分が多く含まれる硬度の高い水は、ほのかな苦みを感じ、酒の味わいに旨味とキレをもたらし濃厚で辛口の酒に仕上がる。また軟水は口当たりがまろやかで端麗な酒に仕上げる。

追 記

ラベルに記載してある、1日本酒度 と 2アミノ酸度を上記の表にあてはめると、酒の甘辛濃淡が分かる。但し、日本酒の味はその他色々な要因に影響されるので、飲み口から感じた事と相違することが多々ある。

【日本酒の種類】

酒類の定義や分類方法については、酒税法という法律で規定されていて、分類上 ”全9種類” の日本酒がある

日本酒にはお米の精米歩合や原料などの条件を満たした「特定名称酒」8種類あり、ラベルに記載されている

上記表以外にも「農産物検査法によって、3等以上に格付けされた米を原料に使っていること」「添加する醸造アルコールの量が、使用する白米の総重量の10%以下であること」「麹米の使用割合が15%以上であること」などの基準があり、

この3つの基準から1つでも外れている場合は、いかに美味であろうが「特定名称酒」を名乗れない

これが残り1種類の「特定名称外の酒」であり普通酒と呼ばれている